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失敗の構造 -ヒューマンエラーのシステムから反脆弱性まで-

突然ですが、質問です。
「最近失敗したことは何でしょうか。また、失敗した理由は何でしょうか。」

僕だけでなく、皆さんの中にも最近失敗したことがある人もいらっしゃるかと思います。
今回は、テーマを「失敗の構造」として、様々な角度から失敗について考えていきます。

しばらく前に、「ミスを防ぐために、まずするべき1つのこと」というタイトルで記事を投稿していますが、今回はより構造的に失敗を考えていきます。

■なぜ人は失敗するのか

以前の投稿では、失敗の原因は2つだと述べました。
1つめが「無知」です。
現代では科学が発達しましたが、世の中の減少でわかっていることはまだほんの1部にすぎません。建設できないビル、予知できぬ大雪、治せない心筋梗塞など、私たちが知らないことはまだまだ多いです。

2つめが「無能」です。
これは、正しい知識を持っていても、それを正しく活用できない状態のことを示します。設計ミスで崩落する高層ビル、気象学者が予兆を見落とした大雪などがこれにあたります。

人類の歴史の大半では、「無知」が一番の問題でしたが、情報が複雑になった現代においては、「無能」の方が大きな問題となっています。

この問題に対して、チェックリストを使おう、というのが以前の解決策でした。
しかしながら、全ての作業においてチェックリストを作成・使用することは時間の都合上困難です。そこで、今回はそもそもの失敗の原因を構造化し、その失敗の構造への対策を打っていきたいと思います。

まずは、人間の行動の構成要素を挙げる前に、具体的な仕事のイメージをします。
例えば、何か会社で上司から作業を依頼されて、依頼内容を聞き、作業内容を理解して作業を実施し、作成物を上司に提出することを想定します。このような行動は、

・インプット(作業内容を聞く)
・プロセス(作業を実施)
・アウトプット(作成物を提出)
で構成され、
そしてアウトプットをインプットにつなげるフィードバック(成果物に対する上司からのコメント等)をしています。この構造から、人間が失敗する原因をまずは、それぞれの部分に着目して列挙します。


system
*シンプルさを優先しているため、制御工学の書き方とは異なります。


<インプットにおける失敗>
・収集すべき情報が足りない。
・収集すべき情報が誤っている。
・自分のプライドが高いため、作業内容が十分に分からなくても人に聞くことができず、暗黙知形式知を収集できない。

<プロセスにおける失敗>
・直観的な判断してしまい、正しい判断ができていない。(「ファスト&スロー」の「速い思考」やバイアス)
・意識が一部に集中してしまい、意識(考慮)ができなかった部分が存在する。

<アウトプットにおける失敗>
・伝え方が悪く、アウトプットしたものが相手に理解されていない。

<フィードバックにおける失敗>
・自分の失敗を認めず、フィードバックを活かさない。
・フィードバックが行われていない。

以上、それぞれ部分における失敗を簡単にまとめました。しかし、実際にはこれらの失敗は独立しているのではなく、システム全体に根付いています。そのため、一部だけを改善しても、失敗は依然として残っているため、システム全体的に失敗の種はないかを検討していく必要があります。


次に、個別の事象ごとに、失敗の性質を見ていきます。

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