価値最大化のためのデータ活用 -データ利用の歴史から IoT・AI時代のデータの本質-
前回の続きです。
■データ活用の歴史を振り返る
いつの時代も、「見える化→分析→施策の実行→検証」は繰り返されてきました。
データの「見える化」の代表例である国勢調査は、紀元前3800年代バビロン王朝でも行われていました。また、中世においても、国家の運営に必要な情報を取得するために、国家が人口・世帯の調査を行っていました。
時代は変わり、機械の登場によって情報のやり取りは、人間よりも計算機(正確には電子)に任せるようになりました。当然ながら、電子の移動速度は圧倒的に早いため、人間は計算機を使って圧倒的に速い情報処理が可能になりました*1
また、情報量は爆発的に増加しました。
近年は、AI・IoTの発展もありデータ量が増加しています。世界のデータトラフィックはCiscoによると、2017年から2020年にかけて約1.9倍に増加し、2020年には1か月あたり228エクサバイトに達すると予測されています。
[平成30年 情報通信白書 より]
世界のIoTデバイスの推移も、2020年には、2015年の約2倍の数になることが予測されています。
[平成30年 情報通信白書 より]
さらに、計算アルゴリズムはパッケージ化*2 され、非常に使いやすくなりました。これによって、誰もが機械学習を実行できるようになり、計算アルゴリズムの民主化が起きました。
以上のような観点から、大量のデータと計算機を活用して分析をすることで、従来と比べて示唆を出すことが容易になりました。今では、データに非常に価値があると考えられており、データは21世紀の石油とも言われています。データを分析して、人間が感じる価値を最大化させたり、資源の効率的・効果的な使用につなげやすくなっています。
■データから本質的な構造を見つける
ここで本質的に重要なのは、ヒトの体験価値と資源側の提供価値を最大化する構造を見抜くことです。その構造を浮き彫りにするために、データやアルゴリズムがあるのです。
情報・データは限界費用が限りなくゼロに近いため、これまで爆発的にボリュームが増えてきました*3そして、デバイスの発展によって、大量のデータを短時間に処理することができるようになったため、情報通信産業はさらに発展を遂げています。データを活用した見える化から、分析、実行を高速で繰り返すことで、より早くビジネスの構造を理解する手助けになるのです。
限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭
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