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外資系コンサルの資料解説 [次世代自動車:BCG]

前回の記事が好評でしたので、今回も引き続き資料解説をしていきます。

www.innovation-blog.com

 

今回紹介する資料は、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)の

激動する自動車業界」です。

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前回とは異なり、今回は資料の構成やデザイン面よりも、

「今後、自動車業界に何が起こるのか」

を簡単に説明したいと思います。
(*特に自動車業界にあまり関わっていらっしゃらない方を想定読者としています。)

 

ポイントは、以下の3点です。

①電気自動車、自動運転車、シェアリングサービスの普及が進行

②"CASE"により利益構造が変化

③自動車業界のビジネス自体が変化

 

はじめに

現在、自動車業界に起こっている変化は、通称"CASE"と呼ばれています*1
"CASE"とは、以下の単語の頭文字をとったものです。

Connected:コネクテッド・カーへの変化

Autonomous:自動運転への変化

Shared & Service:シェアリングとサービス化への変化

Electric:電気自動車への変化

これらの変化を起点として、BCGの資料を紹介していきます。

 

①電気自動車、自動運転車、シェアリングサービスの普及が進行

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2035年には

・電気自動車の割合が30%

・自動運転車(レベル4・5の自家用車・タクシー)の割合が23%

・シェアリングサービスの利用割合(移動距離に占める割合)が18%

になると予測されています。

この3つの観点に対して、現状ではそれぞれの割合が数%台なのに対し、17年後には大幅に成長していることが見受けられます。

 
②"CASE"により利益構造が変化

さらに、自動車業界が今後も成長していく一方で、"CASE"が自動車市場に与える影響は大きくなります。現状では、CASEは自動車市場の利益のうち、約1%の割合しか関与していませんが、2035年には約40%をCASEが占めると予測されています。

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③自動車業界のビジネス自体が変化

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このスライドでは、自動車業界の今後の産業構造を簡潔に示しています。
注目すべきは、「オンデマンド・プラットフォーム」の部分です。
自動車の「所有」から「共有」へと変化する中、自動車メーカーはユーザーのオンデマンド利用に対応する手法に欠けていました。そこで、このシェアリングサービスに最初に目をつけたのがダイムラーです。(最初に"CASE"を発表したのも、ダイムラーのディータ―・ツェッチェCEOでした。)

 

ダイムラーは、"Car2go"という「乗り捨て型」のカーシェアリングサービスを始めました。これがMaas(Mobility as a service)の先駆けです。ダイムラーは他にも、欧州最大の配車アプリ"mytaxi"や、電車・バス・レンタサイクルなど自動車以外の移動体を状況に応じて提示するプラットフォームの"moovel"を展開しています。まさに、「オンデマンド・プラットフォーム」を先行して拡大しています。

 

他にも海外では、Uberや中国の滴滴出行など、オンデマンド・プラットフォームを持っている企業はたくさんあります。
一方、日本では規制および利害関係者の都合上、ライドシェア等の普及には厳しい面もあると考えられます。そうして日本がうかうかしている間に、海外の企業がオンデマンド・プラットフォームを確立してしまうと、日本企業の取り分が減ってしまう可能性があるのです。

 


以上、CASEによって、これまでの自動車産業の構造が変化していることを紹介してきました。今後も、世界・日本の自動車業界の動きから目が離せません。

 

 

追記

こちらの書籍もわかりやすく、次世代自動車について全体感のあるまとめ方がされています。

 

 

また、自動車×ブロックチェーンの取り組みについて、以前にまとめました。こちらは少し長いですが、今回の記事より情報密度高めです。

(今回の記事では少し物足りない場合などにご参照下さい。)

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*1:自動車業界の方には耳タコだと思いますが。。。