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シンギュラリティに向かって -技術進歩の現実と未来-

今回は技術がどのように進歩しているかを見ていきましょう。
このような技術進歩の話は、「ポスト・ヒューマン誕生」もしくは、そのエッセンス版である「シンギュラリティは近い」にも詳しく書かれています。この書籍は、現在Google人工知能開発を指揮するレイ・カーツワイルによって書かれた世界的名著です。

 

 






■シンギュラリティとは
近年の人工知能ブームで、「シンギュラリティ」という言葉をよく聞くようになりました。

ここで言うシンギュラリティとは、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような来るべき未来のことを表しています。


SG
出所:http://dentsu-ho.com/articles/3260

このシンギュラリティには、技術の進歩に関して次のような原則があります。

 

パラダイムシフト(技術革新)の起こる率が加速化している。今の時点では、10年ごとに2倍。

・ITの能力(コストパフォーマンス、速度、容量、帯域幅)はさらに速いペースで指数関数的に成長している。今の時点で、毎年およそ2倍。

・ITにおいては、指数関数的成長にはさらに上の段階がある。指数関数的な成長率(指数)が、指数関数的に成長する、というものだ。理由は以下の通り。テクノロジーのコストパフォーマンスがさらに高くなり、技術進歩に向けてより大きな資源が投入される。そのため、指数関数的な成長率は、時間の経過とともに大きくなる。例えば、1940年代にコンピュータ産業において実施された事業の中で、歴史的に重要だと今なお見なされるものはわずかしかない。それに対し、今日、この業界での総収益は1兆ドルを超える。よって、その分だけ、研究開発にかける予算も高くなっている。

"テクノロジーのコストパフォーマンスがさらに高くなり"の部分は、前回の投稿「イノベーションの変遷 続き」で紹介した、テクノロジーおよびそのテクノロジーによって生まれる製品・サービスのQCD(Quality:品質、Cost:費用、Delivery:引渡)が向上している、ところにも通じます。
 
■技術進歩の状況 

それでは、具体的に技術進歩ではどのようなことが起こっているのでしょうか。その代表例として、情報通信技術の進化を見ていきましょう。

まず始めに、以下のグラフは、コンピュータのパワー/コストの推移を表しています。横軸に年度をとって、縦軸に1秒間に計算できる命令の数を3桁ずつとります。これを見ると1秒間に計算できる命令の数が指数関数的に増殖しています。この対数目盛りでプロットされた指数関数的曲線は、さらに指数関数的に成長しています。イメージとしては、2の2乗の2乗といった成長をしているということです。コンピュータのパワーは1900年には10億分の1、それが今は100万×10億倍となり、驚異的な速さで計算が実行できるようになっています。

 
SG2

 
引用:: AI IMPACTS “Preliminary prices for human-level hardware”

 

こうしたコンピューティング性能の傾向予測を今世紀末まで広げたものが以下のグラフです。この10年以内にスーパーコンピュータの性能が人間の脳レベルに到達し、2020年ぐらいまでにパソコンもそこに達するレベルになります。こちらの成長速度も加速度的なペースであり、今後も驚異的な成長が予測されています。

 

SG3

 

http://nextwisdom.org/article/592/

引用: CC BY 1.0,Exponential growth of computing. 20th to 21st centuries,Coutesy of Ray Kurzweil and Kurzweil Technologies, Inc.

 

具体的な製品で見ていくと、性能はどのように変わってきているのでしょうか。

以下、経済産業省の「情報通信コストの劇的低減」には、以下の事例が挙がっています。
 

・CPU の集積度は 1971 年の Intel4004 と 2008 年の Intel Core i7 を比較すると 38 年間で数10万倍になっている。

・通信速度は、1979 年の Ethernet 10Mbps から 2010年NTT光ファイバー69Tbpsで比較すると31年で690万倍になっている。

・メモリーの集積度では1978年AppleⅡ4KB RAM から 2009 年の Macbook Pro4GB RAMで比較すると30年で100万倍になっている。

・スーパーコンピュータの演算速度は 1976 年 Cray-1 250MFLOPS と 2005年 IBM Blue Gene/L2080.6TFLOPS で比較すると 30 年で100万倍になり、劇的な進化を遂げている。


C2

また、情報通信インフラコストは、2005年において、1985年の
100万分の1以下になっています。

クラウドコンピューティングの事例では、ITシステムのコストを5年間で11億円削減した事例も存在します。

 

C3

出所:情報通信コストの劇的低減 - 経済産業省

 

以上のような結果が技術の進歩によって出ています。

■個人開発者(MAKERS)の幕開け
テクノロジーを活用するコストが下がったことで、個人レベルでも様々な製品・サービスを開発できるようになり、多くのMAKERSが生まれました。

オープンソースが普及することで、個人でもソフトウェアやアプリを作ることが容易になったことは想像しやすいと思いますが、ハードウェアも開発コストが大幅に下がりました。
例えば、Arduinoというマイコンは4000~5000円ぐらいで買うことができ、さらにWi-Fiモジュールは900円ぐらいで買うことができるため、5000円で立派なIoTデバイスが作れてしまいます。
据え置き型ゲームのソフトを買えるぐらいの金額で、自分でもIoTデバイスが作れてしまうのです。


 



ArduinoWiFiをつなぐと何が良いのでしょうか。スマホとネットワーク経由で接続できるのです。
スマホと連携できると何が良いのでしょうか。スマホのデータをArduinoで使用することができるのです。
スマホはセンサーの塊です。加速度センサー、GPS、カメラなど様々なセンサーがあります。
これらのセンサーからうまれるデータを活用した製品・サービスを低コストで作ることができるのです。

また、Arduinoと連携したセンサーのデータをスマホに送ることができます。
例えば、スマホと連携したArduinoに光センサーを設置し、そのセンサーをトイレに置くことで、電気の消し忘れや人が入っているかを教えてくれるデバイスが出来上がります。
その通知をスマホにする際に、スマホの画面(インターフェース)はどうするのかという疑問があるかもしれませんが、そのようなインターフェースはウェブ上に落ちているので、それを使えばすぐにできます。






ちなみに僕は、

Arduino+超音波センサー+ラジコン+(サーボ)モーター+雑巾 

で、自動掃除自動車を作ろうとしています。
ラジコンを自動運転にして、その後ろに雑巾をつけて勝手に掃除してくれるようにします。

頑張って自動掃除機をつくります。