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2018年の「超」振り返り

2018年ももう終わりに近づいてきました。
今回は2018年の振り返りをしていきたいと思います。この振り返りをする目的は3つあります。

1. 2018年に起こったことをログとして残しておくため
2. そのログ情報を整理して、示唆を得るため
3. その示唆を基に2019年はどのようなアクションを取るべきかを検討するため(こちら別途実施)

今までの冬休みはインプットに多くの時間を割いていたので、今年は振り返りとアウトプットに時間を割こうと考え、以上のような目的を設定しました。
そして、振り返りのための時間をがっつり取り、自分研究をしてみました。

 

 

2018年のまとめ

振り返り方法は後述しますが、先に今年の超要約を書いておきたいと思います。
自分なりに振り返ってみた結果、今年を漢字一文字で表すと「心」でした。仕事で様々な状況に直面した時に(あまり詳しいことは書けませんが)、自分の「心」について考察することが多かったためです。自分はどんな時に頑張れるのか、楽しめるのか、どんな時に傷つき、どのような方法で回復するのかを具体的にログを取って考えてきました。しんどい状況もたくさんありましたが、その時にどうやってその状況を打破したのかを具体的な状況ともに残すことができました。こうして自分の取り扱い説明書を自分で筆を執って少しずつ書くことができたと思っています。
人生誰しも山あり谷ありだと思いますが、それは自分の「心」が世界をどう捉えるかによって、人生の途中に山が見えるのが谷が見えるのか、実は平たんな道が続いているのか、見え方が変わってくると思います。下記の後半では、心の要素の中でも重要な「幸福」について考え、その幸福の高め方を内部要因・外部要因に分けて考えていきます。

最後に、振り返った結果のポイントをまとめて、2019年につなげていきたいと思います。

*今回は学術的な「幸福論」について語るのではなく、あくまで個人の経験から積み上げて、幸福について考えて、2018年の回顧録として残します。

 

振り返り方法・内容

振り返りといっても方法はたくさんあると思いますが、今回はあくまで自分が設定した目的に沿った振り返り方法を紹介します。個人のやり方なのでご参考まで。

振り返りのインプット

そもそも、振り返るためには、そのもととなる情報が必要です。年末の今、なんとなくこんなことがあったなぁと思いだす方法もあるかと思いますが、その場合だと当時の状況や自分が考えていたことの解像度が低くなります。そのため、その当時の成果物やメモや写真、動画などログとして残っているものを見ながら、振り返ると具体的な情報に基づいた、解像度の高い振り返りができると思います。

 

僕の場合は忘れっぽいので、毎日起こったことや、考えたことをノートやメモ帳やGoogleDocsなどに書き溜めていました。
特に、今年の振り返りで有効だったのが、STAR PLANNERというノートです。

原田隆史監修 目標達成ノート STAR PLANNER

原田隆史監修 目標達成ノート STAR PLANNER

 

 このノートの特徴はこちらに書いてありますが、特に良かったのが以下の3点です。
1. 毎日できたことを書いたこと
2. 毎日改善点を書いたこと
3. 月単位でその月の気づきやできたこと、習慣化できたことなどを整理できたこと

1と2は毎日2分だけでも時間があれば書けるにも関わらず、振り返った時の効果が大きかったのでかなりお勧めです。毎日2分なら、地球上の誰もが捻出できると思います。特に1のできたことを書くのは、端的に言うと自信につながります。どんな些細なことでも良いのでできたことを書いていると、振り返ってみたときに「自分はこんなことができるようになったのか」とポジティブな気持ちになります。逆に何もできた気になっていないと不安になるため、毎日何かしらできたことを書くのはかなりお勧めです。従来から「できたことノート」で自信がついた人が多いように、この方法は非常に普遍性があると思います。

2.の改善点を書くのは、自分ができることを増やしていき、もっと成長するために有効なログです。
理想的には2で書いた改善点を、後日「できたこと」に書けるまでに実行できると良いと思います。

そして、3の「月単位で整理」というのも有効でした。というのもなかなか年末に振り返るときに、1日単位で振り返っていくと時間がかかるためです。1ヶ月単位で整理したものがあると年末の時にも振り返りやすく、かつ1ヶ月単位で整理していた当時にも頭の整理がされていくので、必要な情報が精錬されると思います。2019年も1ヶ月単位の振り返りは実施していきます。

情報の整理

これまで、振り返りのためにインプットを用意してきました。これらの情報を基に2018年の整理をしていきます。そのために設定したフレームワークが以下のものです。 

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振り返り整理のフレームワーク

まず、これまでのインプットで既に分かっている以下3つを横軸に並べます。
①注力したこと(仕事でしたことなど)
②できたこと
③改善点

そして、縦軸には
1. What
2. Why
3. How (So what)
を並べます。

1. Whatの部分は既存インプットのコピーになると思いますが、
ここで重要なのはWhyとHow(So what)の部分です。
「できたこと」に対しては、Whyを自分に問いかけ、なぜそれができたのかを考えます。この問いかけに対して、自分が答えることで再現性の高い「できたこと」をつくれます。さらに、Whyを探求すると自分が思っていた「できたこと」以外にも汎用的に「できたこと」が生まれてくるかもしれません。例えば、

What: Courseraを受講し始めて、データサイエンスの学習に継続して取り組めた。さらにCourseraの学習方法の良さ(インプットした後にすぐにアウトプットをして理解度が即座に分かる)に気づけた。

Why: 上司が日々忙しいにも関わらず、Courseraを受講していることを知り、自分もやらないと、という気持ちになれたから。
→自分よりも先に進んでいる誰かの存在がやる気につながるのかも!人と一緒に勉強すると継続できるかも!

といったことが考えられます。

Howは特に改善点で使用します。具体的には、自分が書いた改善点に対して、まずWhyで、なぜそれができなかったのか原因を考え、その原因に対して、どうすれば解決するのかを自分に問いかけます。例えば、

What: 自分の考え・意見を否定されたときに、何も切り返せないことがあった。

Why: 自分の考えを自分でも多面的に検証できていないため。セルフレビューに抜け漏れのある可能性がある。また、指摘した人に対してもすぐにWhyを聞くこと(質問の意図など)を出来ていなかったから。

How(So what): セルフレビューの時間に自分の考えや説明内容に対して、自分でも質問を投げかける。自分の説明に対して「なぜ?」「それで?」と問いかけ、それに対する必要を事前に用意しておく。相手に否定されることを事前に想定し、すぐに切り返せるように反論を準備しておく。具体的なイメージとしては、自分が製品のプレスリリースをする時に、記者からの想定質問を用意しておき、それに対して答える。

といったことが考えられます。そして得られた解決策を実行することで、また新しい「できたこと」につながります。

 

振り返りのアウトプット

以上のように振り返って整理してみた結果(サンプル)を以下に記載します。
(職務経歴書に書くような、具体的に仕事で何をしたかについては割愛させていただきます。)

 

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振り返りのサンプル(月単位)

 

振り返りで得られた示唆

色々と書いてきましたが、2018年に重要だと思ったことをシンプルに整理したいと思います。

本稿の上部で、自分にとっての今年の漢字は「心」だという話をしました。
この心の中でもウエイトを占めると考えられる「幸福」について考えてみました。

まず幸福度を高めるため(文言確認)には、
・ネガティブな感情を下げる
・ポジティブな感情を高める
の2種類しかありません。

これら2種類に対して、要因が外部要因か内部要因かで起こっている状況を整理しました。

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以下4つの象限に分けて考えてみました。
・ネガティブ減×外部要因
・ポジティブ増×外部要因
・ネガティブ減×内部要因
・ポジティブ増×内部要因

もちろん、マズロー欲求段階説のような整理の仕方もありますが、
今回の目的はあくまで自分でも気づいていなかった観点を得るためであるので、上記のような整理にしました。

*実際に、この分類を整理して、後述の自分でも気づいていなかった観点を発見できたので良かったと思っています。
**1つ1つ何がどの象限に入っていなければならないという厳密なMECEは考えず、自分が2018年の段階で素直にどう感じているか、どう考えているかを優先して考えました。

このようにして考えた結果、以下の2つのポイントに気づきました。

1. ネガティブ減×内部要因の領域で、自分が持っている手数が少ない 

各象限の具体的なアクションを書いていたところ、ネガティブ減×内部要因の部分だけ筆が止まりました。自分が持っているアクションの手数が少なかったのです。このネガティブ減×内部要因の領域は、自分が精神的なダメージを受けたときに、どう回復するかがテーマです。少し前に流行ったレジリエンスというところでしょうか。僕が精神的なダメージを受けたときに実施していたのは、自分に「大丈夫、OK」と言い聞かせることです。すこしでも自分を安定させ、次の行動に進めるように積極的に自分にOKと言ってきました。しかし、それ以外の手段はあまり思い浮かばず、もっと自分を安定にする手段が必要だと思い、少し調べたり考えたりしました。

例えば、以下いくつか列挙します。

  • 自分の気持ちや考えを全て紙に書き出す
    書いた後には、その気持ちや考えをグルーピングして、それらが出てきた原因を考えます。その原因を深堀して、最終的に絞り込んだ原因に対して、何をするべきか対処法を、高速でリストアップしていきます。この時には、速さと量が重要です。あまり考え込むと、それがまた不安を生み出すので。
    また、自分がこれからしたいことを紙に書き出すと、未来にどんな楽しみが待っているかを考え、自分への期待が高まります。
  • 運動する
    ランニングには抗うつ効果がある。以下の本を参考にしました。一言でいうと「ストレスを感じにくくするためには運動しましょう」ということです。
    一流の頭脳

    一流の頭脳

     

    "定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスをかかえているときでも、コルチゾール(ストレス物質)の分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。運動によるものでも仕事に関わるものでも、ストレスに対する反応は、身体が運動によって鍛えられるにしたがって徐々に抑えられていくのだ。つまり、運動がストレスに対して過剰に反応しないように身体をしつけるのである。単に運動をしたために『全般的にいくらか気分がよくなっている』だけでなく、身体を活発に動かしたことでストレスに対する抵抗力が高まるのである。"

  • 人と話す
    こちらによると、自分の体験を言葉で表現するのが得意な人は幸福感が高いそうです。

  • 旅行に行く
    日常から離れて、新しい場所で新しい刺激を得る、もしくはリラックスする。

  • 自然に触れる
    こちらによると、自然界にある「ゆらぎ」が疲労の予防や改善に効果があることが明らかになっているそうです。
    "「ゆらぎ」とは、光や音などの物理量が平均値を中心に変動する現象のことです。そよ風、木洩れ日、せせらぎ、さざ波のように、自然界のあらゆる現象は「ゆらぎ」そのもので構成されています。"

  • 寝る
    これが一番効果がありそうです。

2. 四つの象限のうち、複数の象限を重ねたアクションが存在する

マトリクスを整理していく中で、必ずしもどれか1つの象限だけに存在するとは限らないアクションが存在するのことに気が付きました。例えば、「飲食店の需要予測」を考えます。単純に需要予測だけを考えると、必要分の発注だけが可能になり、余計な納入コストが減るメリットがあります。野菜を入荷したときに、不要な入荷コストが減ったり、さらには管理コスト・廃棄コストも減ります。この状態では、上述の4つの象限の内、ネガティブ減×外部要因の象限のみを満たしていますが、実は他の観点でもメリットがあるのです。それは、需要予測によって廃棄物を減らすことで、社会全体のコスト削減、環境負荷軽減を実現することです。そんなの何となく知っている、という方も多いのではないでしょうか。しかし、もう少し現実の数値を見ると印象が変わると思います。
まず、食品ロスについて以下のスライドを参照ください。

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出所:消費者庁 食品ロス削減関係参考資料


個人的に衝撃的だったのが、廃棄物の処理に年間2兆円かかっていることです。2兆円です。例えば、これを需要予測で仮にたった1%でも削減できれば、20億円のコストカットに加え、CO2などの温室効果ガスの排出削減にもつながります。1%というと僅かに見えますが、実際の金額を見ると非常に大きなインパクトがあると思います。
このような社会全体のコスト削減、環境負荷軽減を実現できると考えると、4象限の内、個人的にはポジティブ増×内部要因のマトリクスも満たすと思います。
昔ながらにして日本には三方よしの文化があります。上記の社会的コストの削減と環境負荷軽減は日本の文化的な文脈にも沿った、幸福の在り方ではないかと思います。

*食品ロスについて後日詳細を書きたいと思っており、現在リサーチ中です。需要予測は僕の専門分野であり、まさに今需要予測を多くの方に活用してもらえる方法を検討中です。

 

みんなで話そう

今年を振り返ってみた結果を友達と話すと、より理解が深まったり自分では気づけなかった視点を得られます。
以前から、以下のようにグループで振り返る方法もありますので、ご参考まで。

mirai.doda.jp


実際に僕が友達と2018年の振り返りをした時も、「なぜその選択をしたのか」などの質問をもらい、改めて自分のことについて考えるきっかけを得られました。さらに、友達のアクションやその理由、印象に残ったことなどを聞いていると、自分とは違ったものの見方や選好性などを知ることができ、一人では発見できない視座・視点を得られました。

年始には、「2019年の目標」をテーマとして皆で集まって話します。2018年を振り返った結果・示唆に基づいて、2019年の目標を定めていきたいと思います。

*今回の投稿では、2018年を振り返った結果までですが、2019年の具体的なアクションについては現在整理中で実際に行動に移せるような現実的なものを作成しています。

 

さいごに 振り返りをしてよかったこと

今回、2018年の12月はインプットの時間を減らし、振り返りの時間を多くとることにしました。時間は常にトレードオフなので、インプットの時間を減らした分、新しい知識の獲得量は減ったと思います。しかし、それ以上に振り返りをしたことで、自分にとって2018年があった意味を確認することができ、何ができて、何がダメだったのかを冷静に分析できたと思います。

振り返りをすることで、自分が世界のどんな文脈上に生きていて、どんな意味を持って生活しているのか、人生の意味づくりができたのではないかと思っています。今まで何となく過ごしていた単位時間のカプセルに、高速で意味を詰め込んで自分だけのタイムカプセルを作っているかのような感覚です。人間を客観的に、生物としてみるならば、人間が生きる意味はないと言われていますが、個人として人間、自分を考えると、生きた意味を創り、残していくことは非常に重要であると考えています。自分が生きた足跡を社会に残すために、偉業とまではいわなくても自分がしたことをノートなどにログをとり、残していくことには自分が生きた意味を残す大切な作業になるかと思います。何が正解かわからない現代において、自分の信念、意味を残していくことがこれからはより重要になっていくと考えています。